クローズアップ現代「アスペルガー症候群 活躍の場を求めて」 その3
続きです。
■アスペルガー症候群の人の活躍の場
あるIT企業の紹介。3年前に診断を受けた大内啓さん(37)はこの会社の人事部に1年前に採用された。採用の決め手になったのは「優れた文章力」。就職活動中の学生に向けて会社紹介のブログを書く仕事などを任されている。大内さんのブログは「すぐに役立つ」と評判になり、就職サイトでアクセス数ナンバーワンになった。
大内さんは東京大学文学部を卒業後、出版社や官庁などで働いたが、向いていないと言われ数ヶ月で退職を余儀なくされた。
大内さんは「自分の考えは、話すよりも文章のほうが伝えやすい」と言う。
会社側は「面と向かってのコミュニケーションが苦手な反面、文章でのコミュニケーション力はすごい」と評価している。
大内さんは、集中して文章を書いた後は疲れて居眠りをしてしまう。
一緒に働く人たちは、それも障害の特徴として受け入れている。
大内さんの出社初日、会社の全員がアスペルガー症候群の説明を受けたことで理解が広がった。
▽感想→番組で紹介された「大内さんのブログ」はここです。
http://job.rikunabi.com/2011/company/blog/r881010030/
中でも「私の中ののび太」という記事は特に反響が大きかったそうです。
仕事中のいねむりがある程度許容されているというのはすごいですねw
これを見た多くの人は「そんなおおらかな会社はごく稀だ」と思ったのではないでしょうか。
僕も最初はそう思いました。
でも考えてみると、これは大内さんの努力の結果だと思うんですよ。
就職サイトでアクセス一番を取るほどの文章力はなかなか一朝一夕では身に付かないはずです。
大内さんは人知れずいっぱい努力されてきたんでしょうね。
その努力が実って、会社内で代替要員のいない「オンリーワン」の位置を確保できたと。
そうでなかったらこの会社でも居眠りなんて許されないはずです。
自分の特性を生かしてくれる会社を見つけること自体も、運ばかりではなくてそれを探す努力もあったんでしょうね。
僕もやはり大内さんと同じで音声による会話よりも文章のほうがはるかにコミュニケーションを取りやすいです。
この差は「情報をうまく取捨選択できない脳」が大きく関係しているでしょう。
定型発達の人は、音声で会話する場合に会話だけに集中できると思いますが、発達障害の人は耳から入ってくる音、目に入る映像、におい、体に触れるもの、脈絡なく頭に浮かぶ空想や妄想。そういった情報に絶えず惑わされて、会話に集中することが難しい場合が多いです。
音声コミュニケーションの場合、一度聞きのがした「音」はもう取り戻せません。
また、自分が発した言葉でさえも、不要な情報に惑わされてよほど集中していないとすぐに忘れてしまいます。
それに対して文章コミュニケーションでは、相手の言葉も自分の言葉も、文章として形に残り続けます。
忘れてしまっても、また読み返せば自分や相手の言葉を再び頭の中に呼び戻せます。
これによって「文章コミュニケーションのほうが得意」という特性が出てくるのだと思います。
僕は10代のほとんどを引きこもって過ごしたので、人とのコミュニケーションそのものを諦めてしまっていました。「文章でコミュニケーションを取り、それを仕事にする」という発想は全くありませんでしたね。
18歳でPCと出会い、自分が生きる道はプログラミングしかないと思い込んでいました。
1日12時間猛勉強してプログラマとして就職し、ハードワークを限界を超えてやってきた疲れが今でている気がします。
ここ何年か、うつっぽさと言うか頭が回っていない感覚が拭えません。
僕が今度どうやって生活していくか、この大内さんの仕事もひとつのヒントになりそうですね…。
■論理的思考力
アスペルガーには数学的センスや論理的思考力に優れた人が少なくない。
片岡聡さん(43)は、天気図に並ぶ数字を見ただけで翌日の雲の動きや風の流れが瞬時に瞬時に目に浮かんでくるという。子どもの頃から数学や理科が得意だった片岡さんは、2年前まで大学の研究室で助手をしていたが、対人関係でつまづき、うつ病になって退職。アスペルガーと診断されたのは4ヶ月前。うつ病のリハビリで通い始めた病院でのことだった。転機になったのは、知人の勧めで受けた不動産取引の資格試験だった。
法律の条文は片岡さんにとって理解しづらい文章だったので数式に置き換えて覚え、難関の国家試験にわずか一週間の勉強で合格したという。知人の不動産会社で仕事を手伝うようになり、数学的な能力を生かして不動産運用に関する分析資料を作る仕事に取り組んでいる。対人関係が苦手な片岡さんはデータ分析では高い能力を発揮し他の社員の弱点を補って業務に貢献している。
専務取締役「会社にとってプラスになっている。僕は資料作りに悩まされる事もないし、彼は彼で基本は人前に出る必要もないですから」
片岡さん「私が考えているのは、対人関係が得意な方と組んで仕事をしたいということ。もしアスペルガーの人と対人関係が得意な人が組めば1+1以上の事ができると思っている」
(スタジオ)正高信男教授のコメント
「これらは稀有な例。障害は苦手な部分があると同時に障害のある人しか持っていない能力を発揮する。英語でストレングスというがそういう面に着目した積極的な例。周囲の人はアスペルガーについて適切な認識を持つことが大切。注意しなければいけないことは、アスペルガーの人は『適当に』という事ができないので、職場では何をやってほしいのかを明瞭に示す。
社会は異質なものを含んだ時ににより活性化するし伸びる。日本のこれまでの横並び社会が閉塞状況を生んでいるのだから、出る杭は叩くではなくて伸ばす、その代わりに苦手な部分には目をつぶる。底上げするのではなくて伸ばすのだと発想を転換する事が何より大事だと思います」
▽感想まとめ
対人コミュニケーションが苦手な大内さんや片岡さんが企業面接の際にどんな受け応えをして採用に到ったのかが非常に興味があります。
25分という短い番組なのでそこまで紹介するのはなかなか難しいとは思いますが、当事者としてもそこがもっとも気になるところでした。
大内さんの「株式会社クレスコ」や、片岡さんの「株式会社ガイア」は、調べたらどちらも東京都港区にある会社でした。
僕の住む愛知県では、先日のエントリで書いたように障害者雇用枠で応募しようとしてもまず「精神障害手帳」を持っている時点でなかなか応募先が見つからない。応募できた会社も、書類選考の段階でことごとく落とされ、面接を受けることが困難な状況です。
大内さんや片岡さんのように類稀な能力の持ち主でも、面接さえ受けさせてもらえない土地では能力の発揮のしようがないと思います。
この番組で紹介されたような前向きに特性を生かそうという理解のある会社は、東海地方には僕の知る限りでは皆無ですし、障害者職業センターの職員の方も「聞いた事がない」とおっしゃっていました。
理解ある企業は、存在するとしても主に関東に集中しているのではないでしょうか。
そのあたりの発達障害者の就労事情もいつかテレビで紹介してくれる事を期待します。
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■アスペルガー症候群の人の活躍の場
あるIT企業の紹介。3年前に診断を受けた大内啓さん(37)はこの会社の人事部に1年前に採用された。採用の決め手になったのは「優れた文章力」。就職活動中の学生に向けて会社紹介のブログを書く仕事などを任されている。大内さんのブログは「すぐに役立つ」と評判になり、就職サイトでアクセス数ナンバーワンになった。
大内さんは東京大学文学部を卒業後、出版社や官庁などで働いたが、向いていないと言われ数ヶ月で退職を余儀なくされた。
大内さんは「自分の考えは、話すよりも文章のほうが伝えやすい」と言う。
会社側は「面と向かってのコミュニケーションが苦手な反面、文章でのコミュニケーション力はすごい」と評価している。
大内さんは、集中して文章を書いた後は疲れて居眠りをしてしまう。
一緒に働く人たちは、それも障害の特徴として受け入れている。
大内さんの出社初日、会社の全員がアスペルガー症候群の説明を受けたことで理解が広がった。
▽感想→番組で紹介された「大内さんのブログ」はここです。
http://job.rikunabi.com/2011/company/blog/r881010030/
中でも「私の中ののび太」という記事は特に反響が大きかったそうです。
仕事中のいねむりがある程度許容されているというのはすごいですねw
これを見た多くの人は「そんなおおらかな会社はごく稀だ」と思ったのではないでしょうか。
僕も最初はそう思いました。
でも考えてみると、これは大内さんの努力の結果だと思うんですよ。
就職サイトでアクセス一番を取るほどの文章力はなかなか一朝一夕では身に付かないはずです。
大内さんは人知れずいっぱい努力されてきたんでしょうね。
その努力が実って、会社内で代替要員のいない「オンリーワン」の位置を確保できたと。
そうでなかったらこの会社でも居眠りなんて許されないはずです。
自分の特性を生かしてくれる会社を見つけること自体も、運ばかりではなくてそれを探す努力もあったんでしょうね。
僕もやはり大内さんと同じで音声による会話よりも文章のほうがはるかにコミュニケーションを取りやすいです。
この差は「情報をうまく取捨選択できない脳」が大きく関係しているでしょう。
定型発達の人は、音声で会話する場合に会話だけに集中できると思いますが、発達障害の人は耳から入ってくる音、目に入る映像、におい、体に触れるもの、脈絡なく頭に浮かぶ空想や妄想。そういった情報に絶えず惑わされて、会話に集中することが難しい場合が多いです。
音声コミュニケーションの場合、一度聞きのがした「音」はもう取り戻せません。
また、自分が発した言葉でさえも、不要な情報に惑わされてよほど集中していないとすぐに忘れてしまいます。
それに対して文章コミュニケーションでは、相手の言葉も自分の言葉も、文章として形に残り続けます。
忘れてしまっても、また読み返せば自分や相手の言葉を再び頭の中に呼び戻せます。
これによって「文章コミュニケーションのほうが得意」という特性が出てくるのだと思います。
僕は10代のほとんどを引きこもって過ごしたので、人とのコミュニケーションそのものを諦めてしまっていました。「文章でコミュニケーションを取り、それを仕事にする」という発想は全くありませんでしたね。
18歳でPCと出会い、自分が生きる道はプログラミングしかないと思い込んでいました。
1日12時間猛勉強してプログラマとして就職し、ハードワークを限界を超えてやってきた疲れが今でている気がします。
ここ何年か、うつっぽさと言うか頭が回っていない感覚が拭えません。
僕が今度どうやって生活していくか、この大内さんの仕事もひとつのヒントになりそうですね…。
■論理的思考力
アスペルガーには数学的センスや論理的思考力に優れた人が少なくない。
片岡聡さん(43)は、天気図に並ぶ数字を見ただけで翌日の雲の動きや風の流れが瞬時に瞬時に目に浮かんでくるという。子どもの頃から数学や理科が得意だった片岡さんは、2年前まで大学の研究室で助手をしていたが、対人関係でつまづき、うつ病になって退職。アスペルガーと診断されたのは4ヶ月前。うつ病のリハビリで通い始めた病院でのことだった。転機になったのは、知人の勧めで受けた不動産取引の資格試験だった。
法律の条文は片岡さんにとって理解しづらい文章だったので数式に置き換えて覚え、難関の国家試験にわずか一週間の勉強で合格したという。知人の不動産会社で仕事を手伝うようになり、数学的な能力を生かして不動産運用に関する分析資料を作る仕事に取り組んでいる。対人関係が苦手な片岡さんはデータ分析では高い能力を発揮し他の社員の弱点を補って業務に貢献している。
専務取締役「会社にとってプラスになっている。僕は資料作りに悩まされる事もないし、彼は彼で基本は人前に出る必要もないですから」
片岡さん「私が考えているのは、対人関係が得意な方と組んで仕事をしたいということ。もしアスペルガーの人と対人関係が得意な人が組めば1+1以上の事ができると思っている」
(スタジオ)正高信男教授のコメント
「これらは稀有な例。障害は苦手な部分があると同時に障害のある人しか持っていない能力を発揮する。英語でストレングスというがそういう面に着目した積極的な例。周囲の人はアスペルガーについて適切な認識を持つことが大切。注意しなければいけないことは、アスペルガーの人は『適当に』という事ができないので、職場では何をやってほしいのかを明瞭に示す。
社会は異質なものを含んだ時ににより活性化するし伸びる。日本のこれまでの横並び社会が閉塞状況を生んでいるのだから、出る杭は叩くではなくて伸ばす、その代わりに苦手な部分には目をつぶる。底上げするのではなくて伸ばすのだと発想を転換する事が何より大事だと思います」
▽感想まとめ
対人コミュニケーションが苦手な大内さんや片岡さんが企業面接の際にどんな受け応えをして採用に到ったのかが非常に興味があります。
25分という短い番組なのでそこまで紹介するのはなかなか難しいとは思いますが、当事者としてもそこがもっとも気になるところでした。
大内さんの「株式会社クレスコ」や、片岡さんの「株式会社ガイア」は、調べたらどちらも東京都港区にある会社でした。
僕の住む愛知県では、先日のエントリで書いたように障害者雇用枠で応募しようとしてもまず「精神障害手帳」を持っている時点でなかなか応募先が見つからない。応募できた会社も、書類選考の段階でことごとく落とされ、面接を受けることが困難な状況です。
大内さんや片岡さんのように類稀な能力の持ち主でも、面接さえ受けさせてもらえない土地では能力の発揮のしようがないと思います。
この番組で紹介されたような前向きに特性を生かそうという理解のある会社は、東海地方には僕の知る限りでは皆無ですし、障害者職業センターの職員の方も「聞いた事がない」とおっしゃっていました。
理解ある企業は、存在するとしても主に関東に集中しているのではないでしょうか。
そのあたりの発達障害者の就労事情もいつかテレビで紹介してくれる事を期待します。
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